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「決闘だ」 デルフリンガーを買いに行ってサボった事をコルッパゲに怒られた翌日。 朝の食堂でギーシュが億泰に言ってきた言葉がコレだった。 それを聞いてにわかに周囲は白熱しだし、ルイズとシエスタが頭を抱える。 「よし!散れ!散れ!散れ!散れ!散れ!散れ!」 「残れ!残れ!残れ!残れ!残れ!残れ!残れ!三日だけ!」 「たかだか平民に決闘て……常識的に考えろよギーシュ」 「いやいや、ここは貴族が上!平民が下!を植えつけるべきだろ」 「おとなしくナンパしてろギーシュ」 一方、億泰とデルフリンガーは訳の分からない、という顔をしていた。 「なんでだ?」 「いきなりなんでぇ、貴族の坊主」 一斉に全員がコケた。 「な、なんでもないだろう! 昨日僕を気持ち良くなる位に清々しくボコボコにしておいて! 魔法さえ使えずに負けたのは僕のプライドが許さない、だから正々堂々決闘だ!」 「はぁ……まーいーけどよ」 「よし、ならばヴェストリの広場で待っている!すぐに来るんだ!」 そう言うなりギーシュはさっさと出て行った。 「ワザワザ売られた喧嘩買ってどうすんのよこのバカ! あー、もう!剣は確かに買ってあげたけどね。 しなくていいならしない方選びなさいよ!」 「ほんと、本当です!バカです億泰さん!」 「確かにオレは頭悪いけどよォ~~、『罪』ってのはよぉ~そうなるような事をしてりゃあよぉ~ どっかから廻りまわって『罰』がやって来る物だからなぁ~ オレのした事の結果なら受けてやるのが道理ってもんよ」 そう言うと、唖然とする二人を置いて 決闘の見物へ行こうとする集団について億泰も歩き出す。 その背中に、ルイズは一言だけ声をかけた。 「貴族の決闘は杖を落とした方が負けよ。 完全に倒す必要なんて無いんだから」 「あの……ミス・ヴァリエール?」 「なに?」 「億泰さんって本当にただの平民なんですか?」 「私にもわかんない……」 「そうですか……」 やがて通路を曲がって億泰の姿が消えたころ、二人はそう言葉を交わした。 「さあ諸君!決闘だ!」 いつの間にか集まってきた群集でごった返すヴェストリの広場にギーシュの声が響く。 普段は閑散としたこの広場だが、今は一種の熱気に満ちている。 「決闘っていうか雪辱戦?」 「復讐?」 が、決闘の挨拶で湧き上がる歓声には幾分疑問の声が混じっている。 白熱というには随分と足りないようだ。 だが、ギーシュはそんなのは聞いていない事にした。聞きたくなかった。 「よく来てくれたね……感謝するよ。 今度は魔法を使わせて貰う、もう負けはしないさ。 さあ、君も剣を抜きたまえ」 華麗にスルーする事に成功したギーシュは薔薇の造花を振るい、花びらを一枚地面に落とす。 舞う花びらは地面に落ちると、甲冑を着た女戦士の像へと変わった。 朝日を受けて青銅でできたその体がきらめいている。 「別にオレはこのままでいーぜ? さっさとかかってきなよ」 「いや、相棒!抜けよ!抜いてくれよ!使ってくれよ!」 一方、対峙する億泰は余裕の表情だった。 むしろ武器のデルフリンガーの方が余裕が無いくらいだ。 本来貴族のギーシュが浮かべるべき表情に、ギーシュは何故か一抹の不安を覚える。 「強がりかい? 僕は昨日の負けを清算できればいいんだ。 二つ名『青銅』の名の通り、青銅のゴーレム『ワルキューレ』でお相手しよう」 女戦士のゴーレムが、億泰へと突っ込んでくる。 その右手を振り上げ、まさに鉄槌のごとく腕を振り下ろす……! 「『ザ・ハンド』!」 億泰がその名を呼ぶやいなや、どんな腕よりも恐ろしい右腕がワルキューレを抉りとった。 独特の音が辺りに響き、右腕から胸を通り、反対側まで『削り取られた』ワルキューレが静かに倒れる。 「オメーもマジならよォー、こっちもマジにやらねーと失礼ってモンだよな? だから、マジになるぜェ~~~~!」 億泰の声が、その様子に静まった広場に響く。 それを皮切りに観衆がざわめきはじめる。 「な、なんだあの平民!?何を?」 「まさか、魔法を!」 「いや、杖どころかたった一言しか言ってなかったぞ!?」 「先住魔法か!?」 「いや、でもあの平民から出てる『もや』みたいなのは一体!?」 ギーシュは混乱していた。 当初の予定では一体のワルキューレで適当に翻弄して土下座して謝らせるだけで終わらせるつもりだった。 そんでもってその勢いでモンモランシーとよりを戻すつもりでさえいた。 平民だというのに何の遠慮もなくブン殴ってきた億泰の性格に、少なからず好感も持っていた。 貴族と平民の間の絶対的な差も考えの根底に根ざしていた。 しかし、アレはなんなのだ。 億泰から出ている『もや』のような何か。 人型をとっているらしいが、何故か空気のゆらぎ程度にしか見る事のできない何か。 それが、一発でワルキューレを『切り裂いた』。 そうとしか思えなかった。 「一体何をしたんだ使い魔!? その『もや』みたいな物は何なんだ!」 「そうだぜ相棒!オメー一体何を!?」 億泰は最初から全く変わらないポーズでギーシュへと目を向ける。 デルフリンガーについては後で説明すればいいかな、と思ってあえて無視した。 「ほー、完全じゃあねーみてーだが見えてンのか。 世界が違うからなのかなー、中途半端みてーだけど。 ま!考えると頭痛くなるしやめとくぜ」 「見え……? だ、だからその正体は一体!?」 「『魔法じゃあねえ』。そこまでだ。それ以上親切に教えるバカはいねーよ。 そんなくれーで自分から吹っかけた喧嘩中断するってーのか? ほら、近づいてきなよ」 「わ、ワルキューレ!」 一歩踏み出した億泰に、あわててギーシュが薔薇を振る。 花びらが溢れ、六体のワルキューレが現れた。 そして、地面から更に錬金された武器を手に掴む。 もう余裕とかちょいととかいうのは無しだ。 目の前に居るのはただの平民ではない。 メイジ、それも自分よりも格上を相手にするつもりでも良いのかもしれない。 「やれ、ワルキューレ!」 二体のワルキューレが左右から億泰へと切りかかる。 タイミングも完全に同時、避ける事も受け止めることもできない威力で振り下ろされる剣。 しかし、ほれっという億泰の声と共に片方の頭が消え去り、もう一体が物凄い力で倒される。 倒されたワルキューレの顔には足の形が深々とつけられていて、蹴られたのだと分かった。 「ん~、金属の塊にしちゃー予想外のスピードだけどよォ~~~。 承太郎さんの『スタープラチナ』やクソッタレの『チリ・ペッパー』はおろか…… 俺の『ザ・ハンド』や康一の『act3』よりもおせえよ」 そう言うのと同時に『もや』が倒されたワルキューレの頭を踏み砕く。 「そういやよー、オメーシエスタにまだ謝ってなかったよな? 傷ついたレディが二人とか言ってたけどよォー、 どー見てもあの時一番傷ついてたのはシエスタだよなー! 俺が勝ったらちゃんと謝ってもらうぜェー!」 「っ!」 ギーシュが杖を振り、砕かれたワルキューレの破片を『レビテーション』で持ち上げる。 それを億泰の方へと勢いを付けて放り、更に四体のワルキューレで同時攻撃を仕掛けた! 「真正面から何体来ても無駄だぜェ~! 削り取ってやる!」 「フ、ただ真正面から突っ込むだけだとでも思ったのかい! 『錬金』を食らえ!」 ギーシュの本命はワルキューレによる攻撃ではなく、『破片』の方だった。 ワルキューレが三体破壊された所に、青銅の塊が『錬金』されて砂の塊に変わり億泰の顔へと襲い掛かる! 「う……イデェェエェ!」 思いっきり引っかぶった億泰は目を瞑ったまま『ザ・ハンド』の腕を振り下ろす。 しかし、その腕が最後の敵を削り取ることはできなかった。 ただ、舞う砂を削って空間を作っただけだ。 それを見てギーシュはニヤリと笑みを浮かべる。 「そして!この砂で理解ができた! 君のその力!大体人の姿をしているがどうやら殆ど遠くへは行けないな! 行けるならば最初から僕を攻撃していた! そして、右腕にさえ気をつければ怖くないようだ!」 『ザ・ハンド』の右腕を逃れたワルキューレが億泰へと剣を突き立てようとする。 「空振りした所ならこの剣は避けられまい!勝った! アホの使い魔、完!」 喜びながら電波を受信したギーシュだったが、その喜びは億泰の余裕タップリの声に中断される。 「五十点って所だなァ。 甘いぜオメーは。空振りしたって『空間を削っている』んだぜ! そしてェ、削った空間は閉じ……オメーは最初から全く動いてね~~~」 「何を言って……ハッ!」 その瞬間、ギーシュの腕から杖がすっぽ抜け、億泰の手に収まった。 同時に、ワルキューレの動きが止まり、不自然な姿勢のワルキューレはバランスを崩して横へ倒れる。 「瞬間移動って奴さァ~~~」 その様子を見て観衆は沸いた。 急に広場がざわめきだす。 「へ、平民が杖を奪ったぞ!?」 「って事はギーシュの負けか!」 「俺……ひょっとして要らない子か?」 デルフリンガーの嘆きはそっと広場の騒ぎに掻き消えた。
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メローネは暗闇の中にいた。 そこには見慣れた顔ぶれがいた。 「これからは・・・もっとしんどくなるぜ・・・てめーらは・・・」 「うおおおがががが!だが!ウイルスは許可しないィィィィ~~!」 「栄光は・・・おまえに・・・ある・・・ぞ・・・ やるんだ・・・ペッシ・・・オレは・・・おまえを見守って・・・いるぜ・・・」 「兄貴が逝っちまう前に兄貴の目の前でよォォォォ償いは させるぜェェェェ!」 「『覚悟』の強さが・・・『上』・・・なのは・・・ オレの・・・方だぜ・・・グイード・ミスタ・・・」 「ひとりでは・・・レなねぇ・・・」 「俺のそばにちかよるなぁぁぁああああ!」 そこには戦って敗れていく仲間達の姿があった。ん?後ひとりは誰だ・・・? そして背後に気配を感じ、後ろを振り返ると 蛇に噛まれて死んでいる自分の姿があった ゼロの変態第三話 シエスタ 「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 メローネ今朝の第一声である。 「ゆ・・・夢か・・・。クソッ!最悪の目覚めだッ! しかしあの夢はいったい・・・?」 夢の中ではギアッチョやリゾットまで死んでいた。あり得ないと思ったが なまじリアリティのある夢だったので、彼は不安になった。 「な、ない。あり得ない。さっさと夢のことは忘れよう。うん。」 まだ陽も出ていない。メローネは昨晩ルイズに言われた通り、下着を洗濯することにした。 「下着・・・?」 下着である。幼女(といっても差し支えのない少女)の。 「・・・・・・・・・」 メローネが洗濯しようと決心して10分後、彼は廊下をうろうろしていた。 「しかし、どこで洗えばいいんだ?もう10分はうろついてるぞ。」 究極生物の真似事をしていたこの男が部屋を出たのは3分前である。 「それにしてもここ広過ぎじゃあないのか?」 うろついているメローネは1つの人影に気がついた。 メイドだった。 メイドッ!我々の中でのメイドッ!それは精神的な意味において貴族達のそれと少し違っていたッ! 彼らは家事や掃除以上に萌えを望み!単なる職業を超え宗教に近かった! 『メイド』!『メイド』!『エマ』!『シャーリー』!『ロベルタ』!『メディア』! 彼女の存在がメローネの脳回路をショート寸前まで熱くしたッ! しかしッ!彼は見逃さなかった! 彼女の顔が恐怖で引きつっていたのをッ! それもそのはず、着ている服は全身タイツ(腹部露出)!顔には変なマスク! 右手に女物の下着!左手に謎の機械! とどめに頭にはパンティー! どう見ても立派な変態もしくは下着ドロの変態です本当にありがとうございました。 ここで叫ばれでもしたら、彼の人生は即THE・END! 彼は本能で危険を感じ、下着を放り投げるとメタルギア仕込みのCQCで彼女を取り押さえたッ! 「騒ぐな。あんたに危害を加えるつもりはない。話を聞いてほしい。」 必至な分顔が怖かったのだろう、彼女は恐怖でガタガタ震えていた。 「それでは貴方がヴァリエール様の使い魔の平民の変態の方でしたか」 「いや、断じて変態ではない。平民らしいけどな。」 あれからメローネは取り押さえたメイド、シエスタに事情を説明し、 水場へ案内してもらっていた。 (しかし・・・一時はどうなることかと思ったが、何とかなったな。 だがパンツをかぶっている理由の説明にあんなに手こずるとは・・・) ちなみに彼の言い訳は『洗濯籠が見あたらなかったし万が一ご主人様の下着を落としてしまっては困る』 もっとましな嘘をつけ。 そうこうしているうちに水場へついた。 「ここの洗濯道具は自由にお使いくださってけっこうですので」 そう言って去ろうとするシエスタをメローネは呼び止める。 「ちょっと待っていただきたい!」 「え?」 「いや、実は洗濯の仕方がイマイチわからなくてね。教えてはくれないか?」 もちろん嘘である。英語、ドイツ語、フランス語。ゲームやアニメ見たさに覚えた日本語。 爆弾の作り方から魔改造の仕方まで、その大量の知識により付いた仇名は『変態』 もちろん洗濯板の使い方も知っている。下心丸出しである。 しかし、そんな変態の頼みを彼女は嫌な顔一つせず。 「ええ。私なんかでよければ喜んで。」 畜生!いい女だ!こんな女死なせたら地獄行きだぜ! こうしてメローネは朝っぱらから幸せな時間を過ごしたのであった。
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決着は互いに剣を買って終結した。 もっとも武器としての剣を欲していたのではなく話す剣から情報を引き出すのが目的だったのだが。 剣の名はデルフリンガーというらしく相変わらず兄貴と呼んでくる。 長い上に兄貴と呼んでくる事もありペッシと呼ぶと言うと 泣きながら?『デル公でもいいですからペッシだけはやめてください兄貴』と言われた。そんなに嫌か?ペッシは 3日程経過 特に何事も無く時間の流れに身を任せていたが、プロシュートは奇妙な違和感を感じていた。 「……この視線…人の物じゃあねぇな。とすると…使い魔か…?」 ここ数日明らかに何者かに監視されているという感覚がある。さすがにどこぞの吸血鬼のように『貴様見ているなッ!』というわけにはいかない。 人ならば誰が見ているかというのは分かる。だが探ってみても自分を見ているヤツなど確認できない。 とすると残る選択肢は使い魔を通しての監視しか無い。 夜になりルイズの部屋でどの辺りかを考える。 だが心当たりが無い。イタリアに居た時ならそんな心当たりなぞそれこそ星の数程あったが生憎この世界ではそんな心当たりは無い。 「昼間は仕掛けてこねぇとは思うがな…」 「…何か言った?」 「オメーには関係ねーこった」 「あんたの関係無いは私の不幸に直結してる事が多いから不安なのよ!」 (向こうからこねーならオレ自身を餌にして早めに炙り出す…か) 暗殺者という職業柄プロシュート達は徹底した現実主義者だ。 危険を危険として受け止め、それに対しての対策を素早く練りそれが終われば後は日常と変わらずに過ごす。 先の恐怖を先取りし縮こまるという事はしない。だからこそボスの娘の情報が手に入った時即座に行動を起こしたのだ。 (監視の時点で悩んでも仕方ねーことだな) そう考えると探りたければ探らせればいいという結論に達し…寝た。 (今は……な) 「…でプロシュートはどちらの剣を使うのかしら?」 翌々日例によってルイズとキュルケが揉めていたのだが、その内容がルイズとキュルケの買った剣どっちを使うかというものだった。 武器としての剣が欲しいのではなく欲しいのは情報なのだが二人にとっては意地の張り合いというものがあり揉めていた。 なんだかんだで第三ラウンドに発展し出た結論が 「「決闘よ!」」 「オレの関係無いとこでなら好きにしろ」 我関せずを貫こうとするプロシュートだが決闘内容が「自分を吊るしてそのロープを魔法で切った方が勝ち」などという提案が挙がった時は無言で二人を見据え ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨ (この目は…) (間違いなく…) ( (老化させてやろうか?と思っているッ!) ) 二人がそう思った瞬間 「「ごめんなさい」」 さすがの二人も年取って放置されるというのは絶対に嫌らしく同時に謝っていた。 夜になりルイズとキュルケ、タバサの三人が中庭に集まり決闘を始めようとしてるがプロシュートは居ない。 二つ出ている月の元の草原。そこにプロシュートが佇んでいる。無論、月を見ているわけではない。 「早いうちに炙り出されてくれると楽に済むからな…」 学園からある程度離れた場所、夜、そして一人。襲撃するにはこの上ない条件と言える。 襲われる事を知っての行動。 相手もそれは承知の上だろうが確実にやるならこの条件しか無い。 自らを釣り餌にした行動だ。 しばらく経ったが何も起こらない。 ――が僅かな匂いを感じた瞬間 (毒かッ!?) 瞬時にそう判断し姿勢を低くつつ風上に向かう。 風上に移動しつつ周辺を探るが辺りに人は見当たらない。 だがその間も流れてくる匂いは途切れない。 (風上に移動してるってのに誰も見えねぇ上に匂いも途切れやしねぇ…どういう事こった…?) 視界が良好というわけではないが月明かりがある。誰かが居れば分かるはずだった。 (何の毒が知らねーが…これ以上はマズイな…探す発想を『四次元』的にしなくてはいけないんだ…! 使い魔で監視するって事は相手はメイジって事だ…ヤツらを探すにはオレ達の常識外の発想が必要だッ!) 移動しながら考えるがある事に気付き―― 「なるほどな…同じ高さで見つからないって事は下か上って事だ」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨ 上を見上げる…居た。プロシュートから10メートル程離れた上空に揺れるようにしてそいつが居た。 「オレの移動に併せ絶えずそれを流し続けてたってわけか…」 「気付いたみたいね…でもあいつの射程は精々1~2メイル ここまでは絶対に届かない。次はあの薬で――」 そう言おうとした瞬間己の身に力が入らない事に気付いた。 「気温が低い夜とは言え…老化は確実に進行しているんだぜッ!!」 最初に香りを感じた瞬間スデにグレイトフル・デッドの広域老化を発動していたのだが気温が低めな夜という事もあり効果が出るのに時間が掛かった。 「何で…!?あの時は近付いてなきゃ攻撃できてなかったのに…!」 高度が下がり始める。効果は低いとはいえ疲労感を起こさせるには十分だ。よろめいたように地面に着地し…その時それが誰か分かった。 「テメー…あのマンモーニに香水ブチ撒けてたヤツか。確かモンモランシーとか言ったな… どういうつもりか知らねーがオレを倒す覚悟があるって事は倒される覚悟はできてるんだろうな…」 モンモランシーは答えずこちらを凝視してきている。攻撃を仕掛けるべく近付くが 「何…ッ!?」 急に体の感覚が無くなった。正確に言えば、触覚が完全に麻痺し体の動きも鈍い。 「さっきの匂いの正体は…麻痺毒ってわけか」 「麻痺毒?少し違うわね…麻痺してるのは確かだけど痛覚だけは残すっていう高尚なものよ」 「趣味の悪りぃもん作りやがったな…」 「『悪魔憑き』に趣味が悪いって言われたくないわ、ギーシュを虫ケラみたいに殺しておいてッ!」 杖を向け魔法を唱えてきた。恐らくは水系統の魔法。 迎撃しようとするが体の動きが鈍い。つまりグレイトフル・デッドの動きが鈍くなり迎撃が不可能だ。 全て命中した。命中したはずだったがプロシュートはそこに平然とというわけではないが依然として立っていた。 「命中した…はずなのに!」 「賭けだったが…魔法ってのはスタンドに干渉できねーようだな…」 スタンドはスタンドでしか傷付ける事はできない。それを利用し命中する直前グレイトフル・デッドを全面に展開させ全て『受け止めた』のだ。 体の動きが鈍いがG・デッドを前面に出し突き進む。 魔法が飛んでくるが全て命中しない。いや、命中はしているが当たる直前で弾かれている。 触覚が無いため平衡感覚が取れてないが何とか接近し――掴んだ だが、掴んで互いの目が合った瞬間何を狙っていたのかを理解する。 ああ、そうかこいつのこの目 ――こいつ…テメーの命を的にしてやがる バギィ 杖をヘシ折りそのままの勢いで投げ飛ばす 「…どうして殺さないのよ!ギーシュを踏み潰した時みたいに!」 「ハン!こんな人気の無い場所でオレがオメーを殺せば今度は決闘の時みてーにはいかねーからな」 この状況下で正当防衛を主張したとしてもあの連中の事、プロシュートが不利になるのは自明の理だ。 「今のオレの任務は『護衛』だ。この状況でオメーを殺るとルイズを護衛するしない以前の問題になるからな…」 唯でさえ状況が危ないのにここでモンモランシーを殺せば確実にルイズが責任を取らされる事になる。 それでは護衛の失敗だ。 本来なら老死させるとこだが、プロシュートの能力が老化という事はスデに知れ渡っている。 暗殺者とヒットマンの違いがこれだ。暗殺者は常にバレないように相手を殺す。 ギーシュの時は自身の能力を見せ付ける事で恐怖心を周りに植えつけさせこれ以上決闘なんぞを挑まさせる気を無くすのが目的だったが今回はそれが仇になった。 「…ここで私を殺さないとまた襲ってくるかもしれないわよ?」 「来たければ来やがれ、そのぐらい『覚悟』している だが、一つ言うがオレの任務は『護衛』だ。オレじゃあなくルイズを狙えば容赦はしねぇ」 「…………」 その場をふらつきながらに立ち去るプロシュートをモンモランシーはただ黙って見送るしかできなかった。 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ ―― 完全敗北(再起可能) 二つ名 香水 「思ったよりヤバいな……」 麻痺しかけた体を半分引きずるようにして中庭まで戻ってきたが毒が回ってきたのか本格的に体が動かなくなってきた。 「助けてくれ兄貴ィィィィィィイイイ!」 遥か上空から声が掛かり上を見てみると…デルフリンガーがロープに吊るされていた。 そしてその下に杖で構えている問題児が二名。 「……何やってんだ?」 「決闘よ。ロープを魔法で切った方の剣をプロシュートが使うかを決めるためのね」 「兄貴ィィィィィイイイ死んじまうぅぅぅぅぅ」 「…別に剣を吊るす事たぁねーだろ」 上の方から「そうだぞー」という声が聞こえるが 「そっちの方がやる気がでるじゃない」 と、スデにやる気満々で止める術は無い。 ルイズがロープを狙い杖を構え魔法を使ったが―― ドッグォーz_ン 「テメェェェェェェ俺を殺す気かァァァァァァアアアア」 デルフリンガーの後ろの壁が見事に爆発しヒビが入った。 「失敗しても爆風でロープが切れると思ったのに…!」 「最初から爆発が前提ェーーーーーッ!?テメー魔法ナメてんのかァァァァァァアアアア」 ギアッチョの如くデルフリンガーがキレる。当然だがキュルケは大爆笑だ。 「ロープじゃなく壁を爆破するなんて『ゼロ』は本当に器用ね!あっはっは!」 敗戦ボクサーのように膝を落とすルイズを後ろ目に今度はキュルケが狙いを付ける。 「『微熱』の二つ名の由縁見せてあげるわ」 杖の先から火球が現れロープに向かい真っ直ぐに飛んでいく。 キュルケの十八番『ファイヤーボール』だ。 「兄貴ィィィィ落ちる!落ちて折れる!折れて死ぬぅぅーーーーーーッ!」 地面に落ちていくデルフリンガーだが上空でシルフィードと共に待機していたタバサが『レビテーション』をかけ激突は免れた。 「私の勝ちね、ヴァリエール!」 勝利宣言も高らかに勝ち誇るキュルケだが、敗者の方はというと…ショボーンという音が聞こそうに座り込み『の』の字を書いている。 だが、地面が揺れる。 「な、なに!?」 全員が思わず息を飲む。 「ゴ、ゴーレム!?でもこんな大きいの見たことない!」 ギーシュ(故)のワルキューレなどとは比べ物にならない程の大きさだ。 蜘蛛の子を散らす。そんな表現がピッタリ当てはまる勢いでルイズとキュルケがゴーレムの移動線上から逃げた。 だが、一人逃げない者が居た。否、逃げれなかった者が居た。 「くそ…今頃回ってきたか」 地面が派手に揺れたせいで倒れたのだが体が麻痺しているせいでこれ以上動けないのだ。 その場を動かないプロシュートに我を忘れたルイズが駆け寄る。 「な、なんで逃げないのよ!あんたってば!」 「後始末の後遺症でな…!」 ゴーレムが近付き二人の頭上でその巨大な足を上げる。 「オレに構うなッ!」 「く…重いのよあんた!」 引きずってでも動かそうとするが体格差が大分ある二人だ。ゴーレムの足からは逃れるには至らない。 覚悟を決めた瞬間シルフィードが滑り込み二人を足で掴み上げた。そしてそのまますり抜けるようにして上空に舞い上がった。 その下でゴーレムがひびの入った壁を破壊し中に進入。 しばらくしてからまた肩に乗りモンモランシーと戦っていた草原へと向かっていく。 「土のゴーレム!?…あの大きさだと操ってるのはトライアングルクラス…以上ね」 「…随分と派手にやってくれたじゃあねーか」 体さえ動けばゴーレムの肩に乗ってロープを着ているヤツに直触りを叩き込んでやるとこだが生憎体は言う事を聞いちゃくれない。 そうしてるとこにルイズが自分を危険に侵して助けようとした事を思い出した。 「助かったから良いが『構うな』と言ったはずだぜ?」 それにルイズが当たり前のように言い放つ 「問題があるとは言え私の使い魔なんだから見捨てたりするわけないじゃない」 「……言ってくれるじゃあねーか」 そう言い放ちまだ少しだがルイズの『覚悟』を認めた。 翌日…当然の事ながら学院は大騒ぎだ。 何せ宝物庫の壁を物理的な力のみでブチ破り壁に 『破壊の杖、確かに領収致しました。土くれのフーケ』 と犯行声明が残されていたのだから。 「土くれだとッ!?盗賊風情が魔法学院に手ぇ出すなぞナメやがってクソッ!」 「HOLY SHIT!衛兵と当直は何をやってたんだね!」 「OH MY GODッ!破壊の杖を盗まれるとは…ドジこいたーーーッ!こいつはいかーーん!王室がお怒りになられるチクショーーー!」 とまぁ教師達がディ・モールトベネな具合にテンパっている。 完全にテンパり責任の擦り合いをしている教師達を尻目にオスマンに眼鏡の女性―ロングビルがフーケの居場所を掴んだ事を知らせていた。 「至急王室に報告を!王室衛士隊に頼んで、兵を向かわせなければ!」 そうU字禿コルベールが叫ぶがオスマンがその年齢らしかぬ怒気を含んだ叫びを上げる。 「王室なんぞに知らせている間に逃げられたらどうするんじゃ!S.H.I.Tッ!! それにこれは我が身の不始末!魔法学院の問題を我々で解決できねばどうする!」 オスマンが捜索隊を結成するため有志を募るが…教師陣は誰一人として杖を掲げようとしない。全員お互いの顔を見合わせるだけだ。 「おらんのか?おや?どうした!フーケを捕まえて、名を上げようと思う貴族はおらんのか!」 犯行現場を見ていたため呼ばれていたルイズが杖を掲げる。 「何をしているのです!あなたは生徒ではありませんか!ここは教師に任せて……」 「誰も掲げないじゃあないですか」 『覚悟』を決めた強い言葉がシュヴルーズの言葉を遮らせる。 それに続くようにしてキュルケ、タバサが杖を掲げた。 それを見てオスマンが笑った。 「そうか。では頼むとしようか」 幾人かの教師達が生徒達だけでは危険だとオスマンに進言するが 「では、君達が行ってくれるかね?」 と問われると全員黙り込んでしまう。 「彼女達三人に勝てる者が居るなら一歩前に出たまえ。 居らんじゃろう?それに彼も居る事じゃし心配あるまいて」 全員の視線がプロシュートに集まった。 「「「悪魔憑き…」」」 どちらかというと教師達はルイズ、キュルケ、タバサの三人よりプロシュート一人にビビっている。 得体の知れない力で一瞬にして人を老化させメイジを顔色一つ変えず殺す事ができるのだからそれも無理ない事なのだが。 誰も前に出ない事を確認するとオスマンが四人に向き直った。 「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」 ルイズとキュルケとタバサが真顔になり直立し―― 「杖にかけて!」 と同時に唱和した。 プロシュート兄貴 ―― ザ・ニュー任務! 二つ名 悪魔憑き 戻る< 目次 続く
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ルイズが召喚した物は草原に転がっていた。 しかし彼女の召喚は失敗に終わった。 なぜか? それは包装された箱だったからだ。 それじゃ決して生き物じゃあない……。 開けてみると中には、額縁のついた絵のような物が入っていた。 だが「絵」ではない。 ガラスのうすいケースに入っている、立体の何か解らない物体だった。 それに「額縁」をはめたのだ。 何だ? これは? いかに神聖な儀式とはいえ、これでは契約などできようはずもないと、 教師のコルベールは特別にやり直しを許可した。 そしてルイズが再び召喚すると、同じ「包み」が次々と召喚された。 その美術品の数は36にもなった。 そしてルイズ達は全部開封してみてやっと気がついた。 これは美術品ではない! 額縁をはずしひとつひおつの「それ」を平行に置いて、 順番に並べてみると……………………。 /´〉,、 | ̄|rヘ l、 ̄ ̄了〈_ノ _/(^ーヵ L__」L/ ∧ /~7 /) 二コ ,| r三 _」 r--、 (/ /二~|/_/∠/ /__」 _,,,ニコ〈 〈〉 / ̄ 」 /^ヽ、 /〉 ´ (__,,,-ー ~~ ̄ ャー-、フ /´く// `ー-、__,| 『ホルマリン漬け』にされた……「輪切り」の男だった! ――イタリア某所での会話。 「ジェラートの変死体が見つかってもうずいぶん経つが、見つからねーなぁ、ソルベの奴」 「血液さえあればメローネが追跡できるんだが……ソルベはいったい『どこ』に『消えた』んだ?」 ホルマリン漬けの使い魔 完
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「ははは、ルイズ、君の使い魔は恐ろしく強いね。スクウェアの僕ですら歯が立たなかったよ」 「…だから止めようとしたのに」 気絶し、数本骨折したワルドはすぐにルイズが呼びつけた水のメイジに治療され、事なき事を得た。 「ワムウも、任務中に味方を怪我させるなんて…あとでキツくいっておかないと」 「いやいや、僕が吹っかけた喧嘩なんだ。返り討ちにあった僕の自業自得さ」 ワルドはなんの恨みもないのか、爽やかに笑いかける。 「まだ出発まで一晩ある。これくらいの傷、全く影響しないさ」 その笑みの隙間からは白い歯が覗けた。 * * * 「仮面の男、で呼べばよかったわよね?」 「ああ、その通りだ。こんな重要なことを忘れるとはもう年かね?」 フーケは笑みを崩す。 「…わたしの、年が…なんだって?」 「認めたくないものだな!自分自身の、老い故の過ちというものを!」 「この私が『行き遅れ』みてぇーだとぉ!?」 フーケがガタンと立ち上がる。 「確かに聞いたぞこらあああッ!!」 「見せて貰おうか!土くれのフーケの性能とやらを!」 仮面の男も杖を抜く。 結局、数秒後にフーケが折れる。 「どうしたんだい、イラついて、あんたらしくないよ?」 「別になんでもないぞ行き遅れ」 ビキッ、とフーケの眉がつり上がるが、なんとか笑みを崩さない。 「わかったわ、なにも聞かないからぶん殴られる前にとっとと用件話しな」 「あの相棒、とは会ったな、どういった作戦を立てたんだ?」 「使い魔だけかと思ったらおまけまでついて来たって言うんでね、各個撃破することにしたわ。 二束三文で雇った傭兵どもで正面を襲う。そこであんたたちに裏口から逃げてもらう。 そうして残った奴らが前に集中している間に、予想外のところから仕掛ける。あいつの攻撃を 最初に食らった奴を始末する間に私が時間を稼いで、始末し終えたらあいつがそのまま強行突破。 残りの数人を戦闘不能にしている間にルイズとワルドが裏口から逃げてく寸法さ。あんた達の脱出は任せたからね」 ふむ、とワルドが頷く。 「なるほど、奴の能力なら妥当だろう。遠距離戦は向いてないが、背後から急襲をかければ俺くらいでなければ どうにもならん。脱出に関しては任せてくれたまえ、筋肉バカとガキどもくらい簡単に説得できる… ところで、最初に仕掛ける相手は誰なんだ?」 フーケは首を傾げる。 「さーね、そのとき一番近くにいる奴じゃないか?一々そこまで決めてないよ」 ワルドは身を乗り出す。 「ならば…先にあの使い魔をやれ、肉片すら残すなよ」 「…なにがあったかしらないけれど、あいつは頼まれなくても残すことはないさ」 * * * 出かけていったワルドを待つ酒場で待つ一行。 案の定二日酔いのギーシュは飲ませてもらえない。 「酒!飲まずにいられないんだあッ」 「アルビオンまで酒は送迎してくれないわよ」 ドアが開く。 ワルドが入ってくる。 「皆、いいニュースだ」 その言葉にワムウ以外の注目が集まる。 「足りない馬力を僕の魔法で補うということで、交渉が成立した。もっとも、貨物船だが贅沢は言っていられない。 皆、出発の支度をしろ!」 ワルドが声を張り上げた途端、銃声が轟いた。 「ヒャッハッハッ酒だ!女だ!」 「ヒャッハー!ここは通さねえぜ!」 「面倒だ、全員やっちまうぜ!」 貴族の宿「女神の杵柄」の客とは思えない風貌の連中が武器を入り口周辺で振り回している。 蜘蛛の子を散らすように客が逃げていくが、一行は逃げるに逃げられない。 腕はあまりよくないが、一応彼らの近くを銃弾が飛び交っていたからだ。 同じく、奥にいた店長も体を伏せ、震えている。 数人のモヒカンが武器をもってこちらへ向かってくる。 「おら、大人しく死にやがれ!」 しかしワムウは気にも咎めず歩き出す。 「あ?てめぇこのボウガンが目に入らねえのかァーーッ!」 モヒカンはワムウに向かって弓を発射する。 発射した、つもりだった。 「どうだァアアア、でっかい穴があいたぜえええッ!…な、なんでそんな平然としてるんだ… …なるほどうわははははははは は、これは俺の体でしたァぁぁぁいつのまにかァァァ!!」 発射しようとしたときには彼の腕はなかった。 発射したつもりになったときには彼の胴体は無かった。 話し終えたときには体も残っていなかった。 「参ったな、これでは出発できん」 ワルドが呟く。 「明らかに私たちを狙ってるわね、やっぱりあの物盗りも貴族派が一枚噛んでたのかしら」 ワルドはため息をつき、低い声で言う。 「諸君、すまないが、この目的地には僕とルイズさえ辿り着ければいい。君たちには…」 「囮」 続きをタバサが言う。 「そう、囮をお願いした。僕たちは裏口から出て、そのままアルビオンに出発する」 「ま、仕方ないわね。私たちは何をしにアルビオンに行くかすら知らないんだから」 決まりかけたころ、ワムウが声を出す。 「待て」 「なんだね、ワムウ君」 「その裏口から埠頭までほぼ一直線、敵の狙いは詳しくはわからないが、時間稼ぎならここより船や港を襲うなり 買収した方が確実だろう。つまり、敵の目的は時間稼ぎではなく俺たちの命ないしは身柄、所持品ということだ」 ワルドが眉をひそめる。 「なにがいいたい?急いでいるんだ、手短に頼むよ」 「ここを襲うと決めた以上、裏口にまで気を回さないということは無いだろう。それに、その裏口から埠頭までは 暗い倉庫街、暗殺にはもってこいだ。人間の目が4つでは到底足らんな。エシディシ様も言っていた、包囲した際には 一つだけ逃げ道を残し、そこを叩くとな。誰だってそうする、俺だってそうする」 「じゃあ、どうしろって言うんだね?」 苛ついたようにワルドが尋ねる。 「突破だ、俺が少々暴れればこの程度数分でケリがつく。暗殺されるのを防ぐには目が多いほうがいい。 戦力をここに集中させているなら、なおさらだ。戦力で勝っているのに決戦から逃げるのは間違いだろう」 「な…」 ワムウは有無を言わさず銃弾の雨と敵の森の中に突っ込んでいく。 銃弾が当たるものの、皮膚が弾き返し、射手をものの数秒で何人も食い尽くす。 「ひいいいッ!」 「あべしッ!」 「ヤッダバアアアアアッ!」 「もう一度…ぬくもりを…」 店内は阿鼻叫喚の様相を示す。 そして、二分後には、襲ってきた敵は一部しか残っていなかった。数ではなく、体積でだ。 たぶん数ヶ月は営業停止確実だろう。 「では、行くぞ」 行こうとしたワムウに、店主が感謝する。 「あ、ありがとうございます…この店は、祖父の代から受け継いでいて…」 ワムウは無視し、背中を見せ、店を出ようとする。 そのワムウに店主は礼をし、頭を下げる。 その瞬間、店主の頭が崩れ、ワムウを黄色い肉が襲った。 「この田吾作がァーーッ!多少心得があるらしいが、この『イエローテンパランス』に敵は無ァいいいッ!」 ワムウを黄色い肉が襲うと同時に、屋根が崩れ落ちる。 「落石注意報だよッ!」 岩石で穴だらけになった店をフーケのゴーレムが見下ろしていた。 To be continued.
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ゼロのルイズがとうとう使い魔を召喚した。よりにもよって平民の女だ。 一緒に儀式をしていたキーシュも平民を召喚したらしい。こちらは老人とのこと。 センセーショナルなニュースであるはずが、学院内の話題を独占するにはいたらなかった。 なぜか? 皆、自分のことで忙しかったからだ。 モンモランシーは、使い魔の蛙とともにギーシュの部屋の前から動こうとしなかった。 使い魔の蛙は機械的な動作でドアを叩き続け、モンモランシーは人間的な必死さを込めて声を出し続ける。 「ギーシュ、どうしたの。いったい何をしているの。顔だけでも見せてちょうだい」 返事は無い。が、気配はある。何事かを呟く声も聞こえる。 「ギーシュ! あなた食事もとってないでしょう! 体を壊してしまうわよ!」 「お嬢様、ここは男子寮です」 「だから何?」 「私達少しばかり目立っているようです。お声を落とされた方がよろしいかと」 「あんたは黙ってドアを叩いてなさいヨーヨーマッ!」 「分かりましたお嬢様……ゲロッ、ゲロッ……乗っかりてェェェ」 キュルケは浮かれていた。 召喚した使い魔は、他と比べて異質、かつ恐ろしく強い力を秘めているらしい。 今はまだ水をお湯にするだけだが、秘めたる力はキュルケ自身にも伝わってくるような気がする。 その力を魔法と組み合わせた時、誰もが想像しえなかった真価を発揮するだろう。 戦場を縦横無尽に駆け回り、あらゆる名誉を手にした自分を想像する。 その右隣にはまだ見ぬ運命の人が……。 「うっふっふ、全てがあたしに味方しているようね」 キュルケは浮かれていた。 思っていたよりもかなり早く、力を発揮する場を与えられる喜びに打ち震えていた。 早くタバサを見つけ、偶然にも手に入れた素晴らしい情報を教えてあげなければならない。 タバサは学んでいた。 少しずつだが、確実に一歩ずつ歩みを進めていた。 この使い魔は、ドラゴンの例に漏れず、無類の強さを持っている。 だがそれを的確に使いこなすためには、覚えなければならないことが山ほどあった。タバサでなければとうに投げ出していたことだろう。 「ダカラー! ソーじゃネェーんだッツーの! わかんねェーなァー眼鏡サン」 「感覚的すぎ」 「風水ってのはそういうモンなの! エネルギーを感じンだよ、エネルギーをよォー」 理論で説明できることの方が得意なのだが、文句を言っても始まらない。 目的を果たすためには、千里の道を半歩ずつ歩かなければならないこともある。 「ソーじゃねェーんだって! アーモウいっそ毎朝小便でも飲めばイインじゃねェの?」 「いや」 「きゅイきゅイッ」 「うるさい」 マリコルヌは自室で一人肩を落としていた。 ゼロのルイズが平民を召喚した。本来ならば格好のネタである。 ため息をつき、机の上を見る。そこには蛙のような生き物がいた。 払い落とそうとしたが離れようとしない。食事、風呂、トイレ、ベッドの中、どこまでも主についてくる。 ついてくるだけで何をするというわけでもない。ただ、ついてくるだけだ。 目を通して見ることも、耳を通して聞くこともできない。心も通じていない。本当に何も無い。 平民の使い魔がどんなものかは知らなかったが、これよりダメな使い魔はそういないだろう。 こんなことを知られれば、ルイズにどれだけ馬鹿にされるか。考えるだけで憂鬱になる。 「まさかとは思うけど……他の人が召喚するはずだった使い魔じゃないだろうな」 そもそも風上を名乗る自分が、なぜ蛙を召喚しなければならないのか。 ロビンと名付けたその使い魔に目をやり、マリコルヌはため息をついた。 マリコルヌも不幸ではあったろうが、ギーシュの比ではなかった。 ギーシュは部屋の隅で震えていた。そこから動こうとはしない。動くことができない。 食事はとることができないため痩せこけ、排便はその場で済ませるため、部屋の中が名状しがたい臭気で満たされている。 それでもギーシュは動くことができない。モンモランシーを部屋の中へ呼ぶこともできない。 「なんでぼくが……どうしてぼくが……」 ギーシュはこれまで快楽的に生きてきた。 女の子に泣かれることは多々あったが、それもまた甘美な人生には必要なスパイスだ。 まさか使い魔を召喚することで、これまでの人生を悔いるはめになるとは思っていなかった。 何も高めなかった自分を、積み上げてこなかった自分を呪うことになるとは考えていなかった。 「ねっ。ねっ。彼女も呼んでるよ。外に出なきゃ飢え死にしちゃうよ。ねっ」 「うるさい……うるさい……黙れ……黙ってくれ……」 「ねっ。ご主人様なら背中見せずに生活できるよ。ねっ」 「やめてくれ……許してくれ……お願いだから……」 幸運には上限があるが、不幸には下限がない。ギーシュは自分の幸運を知らなかった。 ギーシュの使い魔は、自分の性質を押し殺してまで主人に仕えようとしている。 使い魔としては最低限のことだったが、その最低限がどれだけ重要なことか。 最低限が無いということは、最低よりも下に位置しなければならないのだ。
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前ページ/ゼロの使い/次ページ 魔力を辿って行った先にはレコン・キスタの本拠地と思われる建物が建っていた。それが軍港施設ロサイスであることを異界の住人である彼が知る術はなかった。 幸運にも、本陣が攻め込まれるなどとは思ってなかったらしく、守備兵は全てまともな生き物だった。 本陣だけあって、かなり腕の立つものばかり、蟻の様な数で押し寄せたが、古代呪文とマホカンタの前に虚しく散っていくだけだった。 魔力を辿った先にある部屋の前に着くと、トリステインに攻めてきた連中と同じ魔力を漂わせたオーガが突っ込んできた。 その棍棒の一撃を交わしたメディルは、メラゾーマとマヒャドをそれぞれ発動させ胸の前でそれを合成した。 合成された二つの呪文は光の弓となり、第二撃を加えるべく向かってきたオーガはその矢に飲まれ、壁ごと消滅した。 先ほどの連中とは違いそのオーガは再生しなかった。 極大消滅呪文・メドローア。古代の大魔道師が編み出したとされるこの呪文はあらゆる物質を消滅させる最強の魔力を発射する。 メディルはこの術の性質を利用し、死者を操る魔力ごと消滅させたのだ。 今攻め込んでいる連中にも無論有効だが、この術も超高密度魔法言語ほどでないとはいえ、かなり消耗する。 大軍に向けて使うには適さなかった。 「君がメディルの使いかね。噂は聞いているよ。」 部屋の中では、総大将と思しき細い男がこちらを見ていた。 メディルは、ただの男に過ぎない筈の彼に言いようの無いものを感じた。 「貴様がここの・・・」 「いかにも。余がレコン・キスタ総司令官、オリヴァー・クロムウェルだ。」 高らかに自己紹介する彼の指に嵌められたものからは、メディルが追っていた魔力の糸が伸びていた。 「その指輪が不死身の秘密か。」 「いかにも。グレートライドンが呼び出した死者に、このアンドバリの指輪の魔力を与え生前の姿と不死性を与えた。 すべては我らがレコン・キスタの守護神が・・・」 悦に浸って喋り続ける、総大将の台詞をメディルが遮った。 「守護神だと、笑わせる。奴は私の世界にいた『死神貴族』と言う魔物に酷似していた。 貴様の背後にいるのは、異世界から来た私と同様の魔族か魔物。違うか?」 メディルの問いに、彼はクククと笑いながら答えた。 「その通り。あの方は神じゃない。恐ろしく邪悪なオーラを漂わせていたからね。 だが、神にも勝る力を持っておられる。だから余はあの方の下、この組織を興し、この世界を丸ごとあの方に献上しようとしたのだ。 この指輪はあの方が水の精霊から奪った物を改良したと言っていた。」 「そこまで話すということは、覚悟は出来たようだな。」 メディルの右手の指に灯った五つの炎を見たクロムウェルは手にした指輪を飲み込んだ。 改良されたためか、指輪の効果は外しただけでは消えぬらしく、彼の口からはトリステインに向けて魔力の糸が伸びている。 「ああ。余自ら手を汚す覚悟をね。」 「ほざくな。五指爆炎弾!」 放たれた5発のメラゾーマが彼を焼き尽くした――かに思えた。 だが、どういう訳か呪文は彼に命中したと思った瞬間、踵を返し、メディルに向かってきた。 咄嗟にマヒャドで相殺するが、判断が遅れればかなりの痛手を負っていた。 何が起こったのかメディルは把握できなかった。マホカンタがかかっているならば 並みの者はともかく彼ならば一発で見切る事が出来、他の呪文が発動したようにも見えなかった。 やがて、クロムウェルが不敵な笑みを浮かべ、話し始めた。 「どうやって呪文を返したか疑問に思っているようだから教えてあげよう。 余は何の魔法も使っていない。ただそういう体質だっただけの事さ。このような・・・」 突然、目の前の男の肉体がメキメキという音と共に大きくなっていき、見る見るうちに面影一つ残らぬ姿に変わり果てた。 そいつは青白い鱗に全身を覆われ、両手から30サントはある長い爪を生やし、瞳孔の無い血の様な真紅の眼を持つ 3メイル程の身長の蜥蜴と人間を混ぜたような魔物だった。 ここへ来て、ようやくメディルは最初に感じた奇妙な感覚の真実を悟った。 「魔法を弾き返す鱗を持ち合わせた崇高な存在に生まれ変わっていただけの事さ。 我らが守護神であるあの方が授けてくれた『進化の秘法』によってな!!」 言い終わる前に、クロムウェルはその巨体からは想像出来ぬほどの速度でメディルに爪を振り下ろした。 間一髪でかわすが、爪が下ろされた瞬間、散弾銃のように無造作にばら撒かれた無数の三日月形の風の刃の一つが左肩口を掠めた。 「どうだね?我が風刃の爪の味は。避け続けられるなら、やってみろ。」 第2、第3の爪がメディルに襲い掛かる。爪そのものの回避は容易だったが、軌道の予測が不可能な風の刃が少しずつ、だが確実に彼の体を傷つけていた。 だが、敵はあまり気の長いほうではないらしく、爪では簡単に死なぬと判断したのか、口を大きく開け、全身を震わせ冷たく輝く息を吐いた。 咄嗟にフバーハを唱えて身を守るが、そうしなければ銀世界と化した部屋の風景にこの上なく溶け込んでいたであろう。 「どうだね。君は余に傷一つ負わすことが出来ない。唯一、不死の兵を殺せる君がこの場にいて、私を殺せないということはトリステインの敗北が確定したということだ。 だが、君ほどの男をここで殺すのは惜しい。どうだ、余の・・・」 「笑わせるな。」 「そうか・・・残念だ。」 「何を勘違いしている?まだトリステインの敗北は二つの理由で決まっていない。」 「何・・・!?む・・・!?」 クロムウェルは体内のアンドバリの指輪を通じて異変を感じ取った。 死なないはずの兵の数が減っている。 化け物がメディルを睨み付けて言い放った。 「何をした・・・?」 「私は何もしてない。やったのは・・・私の主だ。」 「いっそ死んだ方がマシだわ・・・」 何本目か数えるのも止めた魔法薬を飲み干し、ルイズがぼやいた。 彼女は虚無の爆発を連発して辛うじて意識を保っている状態だった。それでもなお、海の中からは続々と敵軍が出てきたが。 「命を司るという虚無の力なら不浄の命である彼らを滅ぼせるかもしれない。」と敵陣に赴く前、使い魔が言っていた。 その言葉通り、爆発を僅かでも受けた敵兵は人も亜人も竜も、音も無くその場に崩れ落ちていった。 威力も想像以上で、一発撃てば数え切れぬほどの兵を滅ぼすことが出来た。 虚無特有の長い詠唱時間はこの期に及んでも逃げ出さぬ真の軍人達とメディルに化けた10体のモシャスナイトがその身を擲って時間を稼ぎ、 本来なら一発目で尽きたであろう精神力は気絶する前に使い魔から分け与えられた魔法薬で回復させる。 回復中はルイズに化けた残り90のモシャスナイトが一体ずつ爆発を唱え、魔力が尽きれば本来の姿に戻って軍人達と共に詠唱時間を稼いだ。 正直彼女の身体的・肉体的疲労は当の昔に限界を遥かに超えていた。 それでもなお、立って呪文を唱えられるのは貴族としての誇り、 ゼロと呼ばれ続けた自分が初めて本物の貴族らしく働いている事への喜び等もあるが、 最大の理由は自軍の兵と共に詠唱の時間を稼ぐ無二の親友とここまで導いてくれた使い魔に報いるためであった。 「こんな大仕事私に押し付けて・・・なんて言ってる場合じゃないわね。」 使い魔への愚痴を止めて、ルイズは再び詠唱に入った。 「と言うわけだ。」 「ぐ・・・」 クロムウェルが奥歯を噛み締めた。 レコン・キスタの兵はグレートライドンが呼び寄せた亡者を除けば全員、虚無と偽ってきたアンドバリの指輪の力で集めたものだ。 偽りの虚無が本物の虚無に滅ぼされるという皮肉な状況に、さしもの彼も不快感を顔に出さずにいられなかった。 「そして、もう一つの理由。それは―」 メディルは言った。まっすぐ、目の前の魔法を跳ね返す化け物に向かって。 「貴様を殺す算段が今ついたからだ。」 前ページ/ゼロの使い/次ページ
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舞踏会に参加せず、そのまま眠りについたディアボロと共にドッピオも眠っていました 本当は夜遅くまでしていた舞踏会についていけず先にドッピオは眠ってしまっていたのですが 『・・・ドッピオ・・私の可愛いドッピオ』 何ですか?ボス 『私は・・・幸せになってはいけない』 なにを言ってるんですか、ボス。らしくないですよ? 『私は消え去ろう。ドッピオ、お前は残ってこの世界で幸せになれ』 待ってください!ボス!なんでそんなことを言うんですか!? そんな・・いなくならないでください!ボス! 幸せはボスがつかむべきです! ・・・ボス?なんで喋ってくれないんですか? ああ・・・きっと電話の調子が悪くなったんだ いつものように電話くださいよ・・・待ってます・・・電話 朝、ドッピオはまだ日が上がる前に起きました (・・・あれ?寝汗がすごい。変な夢みたのかな) とても怖い夢を見たような気がします ですが気にもしていられません。朝の仕事をこなそうと起き上がり洗濯をしようと洗い場に向かいます もはや言う必要もなくなるほど自然となった使い魔の仕事を終えていつもの通りの一日でした いつもと違うところといえばカードを使ったと言うことがマルトーたちに広まり ポーカーで大勝利したぐらいでしょうか(もちろんエピタフを使いました) 夜、ドッピオは一人でカードをいじっていました ルイズが寝る前は誘ったのですが勝ちすぎて逆にふてくされて眠ってしまいました コッ・・・コッ・・・ ・・・ドッピオの中でデジャブが起こりました。品評会前日、とても似たような足音を聞いています 「・・・ルイズさん、起きてください」 「なによ・・・もうカードなんかやらないわよ」 「違います。お客さんです」 「お客?こんなじかんに誰よ・・・」 ルイズは渋々着替えます コンコン・・ ノックされます。ドッピオはドアを開きます 案の定そこにいたのは女王アンリエッタでした 「ルイズ!あなたにしか頼めない重要な依頼があるの!」 ドッピオはすぐにカードに意識を向けました 「今から話す事は誰にも話してはいけません」 とアンリエッタが言いました。ドッピオは動かずカードをしています 「ちょっと気を利かせて席を外すとかないの?」 「メイジにとって使い魔は一心同体。席を外さなくても結構ですよ」 「あ・・・そうですか」 「・・・・・・」 ドッピオはまだカードに意識を向けています ルイズは不遜な態度を取っている使い魔を怒ろうとしますがアンリエッタの話のほうが大事と思い怒るのを止めました アンリエッタはゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事となりました このことにルイズはとても驚きましたがドッピオはまだカードに意識を向けています 嫁ぐ理由はアルビオンの貴族が反乱を起こし、今にも王室が潰れそうな事 反乱軍が勝利すれば次はトリステインに侵攻してくるに違いないという事 それに対抗するにはゲルマニアと同盟を結ぶしかなく、同盟のために結婚せねばならないという事 そして女王としてはともかく、一人の女性としてアンリエッタはその結婚を望んではいないと言う事 直接、結婚は望んではいないとアンリエッタは言っていませんが 悲しそうなさみしそうな口調を聞けばそれは誰にでも解る事でした ドッピオはまだカードをいじっています。ルイズはいい加減頭にきました 「ドッピオ!姫殿下がこんな不遇な状況に立っているって言うのに何もないわけ!?」 「・・・それが王族としての義務というものじゃないんですか? それが上に立つ者として生まれた義務でしょう」 そう、アンリエッタの結婚と判断は王として正しいものです 王の義務として、国を国民を守るため身を売るのは正しい事 王として生まれた瞬間、王としての運命を受け入れなければならないのです アンリエッタは自分の結婚話という前置きを終えると、いよいよ本題を語り出します アルビオンの貴族はトリステインとゲルマニアの同盟を妨害するため、婚姻を妨げる材料を血眼になって探している そしてその材料は存在するのです。それはアンリエッタが以前したためた一通の手紙 その手紙の内容はさすがに言えないらしいのですが問題は、その手紙がアルビオンにあるという事 敵の手中に陥った訳ではなく、反乱勢と争う王家のウェールズ皇太子の手にあるのです 遅かれ早かれウェールズ皇太子は反乱勢に囚われてしまいます、そうしたら手紙も見つかります そうなったらトリステインは一国でアルビオンと対峙せねばならない だからその手紙を何としても取り戻して欲しい ――が、アンリエッタは本気でルイズに依頼をしに来た訳ではなかったのでした 「貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険な事、頼める訳がありませんわ・・・」 だがルイズは力強く王女の願いを聞き入れた。 「例え地獄の釜の中だろうが、竜のアギトの中だろうが、姫様の御為とあらば、何処なりと向かいますわ! このわたくしめに、その一件、是非ともお任せください」 「ああ・・・ありがとう。ルイズ」 「この杖と姫殿下から授かったシュヴァリエの爵位にかけて必ず成功させて見せましょう!」 「・・・それで話はまとまったようですね。なら今すぐに向かったほうがいいでしょう」 「少し待ってください」 アンリエッタがなぜか呼び止めました。そしてドッピオに左手を出します 「頼もしい使い魔、ドッピオさん。私の大事なお友達を、これからもよろしくお願いいたしますね」 これは、手の甲にキスしろというジェスチャーなのでしょう なるほど確かに王族らしい行為です。ですが 「・・・僕のような平民に手を許していいですか?」 はっきり言ってそんなことするつもりはありませんでした 自分に合わないこと、この上ありませんし何より (・・・ドアから見てるのがばれてないと思ってるんだろうなー) ドアから覗き見る目が羨ましい・・・もとい恨めしい目でした 「そうですよ姫様!使い魔にお手を許すなんて!」 「いいのですよ。忠誠には、報いるところがなければなりません」 「・・・僕が忠誠を誓っているのは主だけです 忠誠に報いると言うのならそこのドアの向こうにいる人にしてください」 「「な!?」」 「・・・フ、バレてしまっては仕方がない」 そんな感じで入ってきたのは 「ギーシュ!?なんであんたがここにいるのよ!」 「薔薇のように見目麗しい姫さまのあとをつけてきてみればこんな所へ それで鍵穴からまるで盗賊のように様子をうかがえば・・・ 姫殿下! その困難な任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう」 「グラモン? あの、グラモン元帥の?」 「息子でございます。姫殿下」 ギーシュは深々と礼をし、アンリエッタの表情が明るいものに変わります 「ありがとう。お父様も立派で勇敢な貴族ですが、あなたもその血を受け継いでいるようね ではお願いします。この不幸な姫をお助けください、ギーシュさん」 「もちろんです!」 ウェールズ皇太子がアルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞かされ ルイズはアルビオンの地理に明るい事から出発の準備はほぼ整ったといえます そこでアンリエッタは、机に座ると羽根ペンで羊皮紙に手紙をしたため始めます そしてしばし自分の書いた文章を眺めた後、悲しそうな顔をして呟きました 「始祖ブリミルよ・・・この自分勝手な姫をお許しください でも、国を憂いても、わたくしはやはり、『この一文を書かざるえない』のです・・・ 自分の気持ちに、嘘をつく事はできないのです・・・」 アンリエッタは手紙を巻いて杖を振り、魔法で手紙を封ろうして花押を押しました 「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください すぐ件の手紙を返してくれるでしょう」 それからアンリエッタは、右手の薬指から指輪を引き抜くとルイズに手渡した。 「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです お金が必要なら、売り払って旅の資金にあててください この任務にはトリステインの未来がかかっています 母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなた方を守りますように」 余談ですが結局ギーシュはアンリエッタにキスすることは出来ませんでした
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ゼロ#11-A ニコニコ ゼロ#11-B ニコニコ うわぁい、スカロン店長だ! 中途半端のシリアスはこいつの濃さで全部吹っ飛ぶから困る。 店長登場は嬉しいが、平民ビッチの登場はいまいち……。 ただでさえ時間無いのに無駄な要素を出すのは、いかがかと。 つまり、店長=必要、平民ビッチ=不要ってことだ! ついにギーシュ降臨祭。 とは言え、ギーシュの影薄いのも確か。 しかもアイキャッチでずっと引っ張ってきたルイズのエロ猫姿の前では……。 雪の振る中、屋内とは言えその格好は無いだろ……常識的に考えて……(ニヤニヤしつつ やはりギーシュの影が薄いぜー。 もうちょっとサイトとの絡みが欲しいぜー、うほ的なのは抜きにして! サイトが生死について怒る時にモンモンの名前出すぐらいのリップサービスも欲しかったし。 妖精の伏線のこと考えると第三期すら考えてるのだろうか。 あの重要キャラのハゲ死んでしまったのに……。 まぁ多少無理矢理でもハゲが生きてたらそれはそれで嬉しいんだが。 将軍終了のお知らせ。 ビッチ姫は確か水魔法のかなりの使い手じゃなかったか……。 消化してやれよ!と思ったのは僕だけじゃないはずだ。 いきなりの急展開で、いっきにシリアス。 平民ビッチの渡してくれた睡眠薬が毒薬にしか見えないのは僕だけじゃないはずだー! 色々とダメダメだった第二期も来週で最終回。 なんだかんだで最後には期待しちゃってるのも、僕だけじゃないはずだ! 名前 コメント